siar

Snowy Institute

Ubuntu LTS Enablement Stacks とカーネルのアップグレード

Ubuntu LTS のカーネルを最新のものにアップグレードする話です.

LTS Enablement Stacks

Ubuntu の長期サポートバージョンである LTS (Long Term Support) には,LTS Enablement Stacks というものが存在します. これは,「LTS がリリースされた後」にリリースされた Linux カーネルや,X ウィンドウシステムのディスプレイサーバ(以降,これら2つを総称として「カーネル」と呼びます)を,LTS 上で利用可能にするものです.

この辺の詳しいことについては次の記事が参考になりましたので,興味のある方はそちらを ご参照ください.

kledgeb.blogspot.com

カーネルのアップグレードにおける注意点

デフォルトのカーネルバージョン

例えば,あなたのPCにリリース直後の Ubuntu 18.04 LTS をインストールしていたとします. その Ubuntu は,そのままでは カーネルがアップデートされることはありません

これはバグではなく仕様です. 2019年10月現在,次のバージョンの LTS でこの現象が起こります.

  • Ubuntu 12.04 LTS
    • 12.04.0
    • 12.04.1
  • Ubuntu 14.04 LTS
    • 14.04.0
    • 14.04.1
  • Ubuntu 16.04 LTS
    • 16.04.0
    • 16.04.1
  • Ubuntu 18.04 LTS
    • 18.04.0
    • 18.04.1

GAとHWE

上記のバージョンでは, General Availability (GA) Stacks がデフォルトとなっています.つまるところ,特殊な操作をしない限り,カーネルのバージョンが変わらないというようになっています.

もし特定のバージョンのカーネルに依存したものがあったとしたら,自動でカーネルのバージョンが変わってしまうと困りますから,このような仕様になっています.

GAに対して,LTS Enablement Stacks, または Hardware Enablement (HWE) Stacks があります. こちらは,LTS でないバージョンの Ubuntu に使われている最新のカーネルを LTS に自動的に適用するもので, XX.04.2 以降のバージョンだとこちらがデフォルトになっています.

HWE は次の LTS の最初のカーネルまでサポートされ,LTS でない Ubuntu がリリースされる度に更新されます.例えば Ubuntu 18.04 の HWE ですと,18.10, 19.03, 19.10, 20.04 のカーネルがぞれぞれのリリースに合わせて適用されます.

なお,GA にも HWE にも,どちらも安定版のカーネルのみが使われますのでご安心ください. (開発版を利用する方法もありますが,ここでの説明は割愛します.)

最新のカーネルの利用方法

もし先に列挙したバージョンをインストールしていて,最新のカーネルを使用したい,つまり HWE にしたくなったときは,追加パッケージをインストールすれば良いです.

デスクトップとサーバで推奨設定が異なりますのでご注意ください.

Ubuntu 18.04 の例を下に示します.

  • Ubuntu 18.04 Desktop の場合
sudo apt install --install-recommends linux-generic-hwe-18.04 xserver-xorg-hwe-18.04 
  • Ubuntu 18.04 Server の場合
sudo apt install --install-recommends linux-generic-hwe-18.04 

詳しくは以下のリンクに載っています. 仕様変更に伴い,Ubuntu 16.04 に HWE を適用するときは,ドキュメントを参照することが強く推奨されています.

Kernel/LTSEnablementStack - Ubuntu Wiki

参考文献